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カート

カートが空です

CROSS TALK 玉井太朗&真木勇人

CROSS TALK 玉井太朗&真木勇人
interview by Hiroyuki Yamada
CROSS TALK
玉井太朗&真木勇人
interview by
Hiroyuki Yamada

―― まずは2人の出会いから教えてください。


玉井:いつだったか、共通の友人、DOVE WETSUITSというウェットスーツブランドで現在は会長を務める戸倉康守さんを介して、ごく自然と出会った感じですね。ただ、実際に出会う前から、東京に悪い3人組の兄弟がいるというのは聞いていました。僕の地元の隣街の出身だったし、知り合いも間接的にいっぱいいたんです。どこかで出会うだろうとは思っていました。


真木:僕も名前は耳にしたことがあったし、GENTEMSTICKも雪山でサーフィンする感覚を味わえる板だと聞いていました。たしか2000年代に入ったあたりかな。そのころもう僕はスノーボードをやっていましたから。


―― サーフィンはいつからですか?


真木:14歳、中学2年生のときです。93年か94年のハワイで、すでに兄がサーフィンをしていたので連れていってもらったんです。いきなりとんでもない場所でしたね。岩だらけの、普通なら初心者を連れていかないだろうというポイントでした。そのうえ何ひとつ教えてくれなくて、板だけ「はい」ってわたされて。先にパドルアウトしちゃうし、見よう見まねでついていったのですが、もちろん吹っ飛ばされました。波のサイズは頭くらい。3本目くらいに岩に打ちつけられて、血だらけになって終わったというのが人生初のサーフィン体験です。


―― そんな痛い思いまでしたら、やめてしまう人もいますよね。でも1年後にリベンジしたという。


真木:15歳で運転免許が取れたんです。それで、もっと優しい波のスポットに行けると気づいて。そこからですね、ハマっていったのは。


玉井:散々なサーフィン初体験以降もやる気はあったんですね。


真木:そう、あったんです。当時スケートボードをしていたのも影響していたと思います。

―― 玉井さんの初スノーボードは?


玉井:スキーファミリーだったので雪山デビューは幼少期。最初はスキーでした。スノーボードとの出会いは74年、12歳のときかな。ある日、雪の上を横に乗って滑る16mmフィルムの映像を見たんです。不思議なことに、そのとき「これだ」と直感的に思って。ただ実際にスノーボードをするのは中学生になってから。サーフィンを始めた翌年の冬に山小屋でアルバイトをしようと考え、「そういえば!」とスノーボードのことを思い出したんです。そこで探して購入し、スキーとスノーボードを山へ持っていきました。そこからですね、サーフィンとスノーボードを両方やるようになったのは。


―― ふたりともサーフィンとスノーボードをしていますが、両者の間に違いは何かありますか?


玉井:僕の場合はまったく変わらないです。雪の上も波の上もどちらも最高なんです。では、何が同じなのか。言語化するのは難しいんだけれど、自然の中でいい波に乗ったときのフィーリングが、いい雪を滑ったときのフィーリングと何も変わらないんです。


真木:僕も太朗さんと同じ感覚で、サーフィンしているときも山で滑るときも同じ感覚ですし、GENTEMSTICKを乗らせてもらってからというもの、本当にサーフィンしている感覚そのまんまで雪上を滑っています。それで乗れてしまうんです。テクニック云々ではなくて。


玉井:サーフィンもスノーボードもコンペティションなどジャンルはいくつもありますが、僕の場合はハンティング。いい波、いい雪を求めて、そこにいられるかどうかを重視していて、そういう意味でもどちらも一緒なんです。





―― いい波を探す。いい雪を探す。確かに共通点がありますよね。また、探すという行為は旅という形になるのかなとも思います。ふたりはこれまで非常に多くの旅に出てきました。旅の価値はどう思われていますか。


真木:より良い波、未知の波を求めて、ということなのかな。好奇心であったり、チャレンジしてみたい気持ちが旅に出る原動力になっている気がします。


玉井:「未熟な自分を成長させるため旅に出る」という要素はありますよね。ただ最近は、普段の生活の中にも旅の要素はあると感じるようになってきました。それこそ波は海でも山でもコンクリートの上でも、どこにでもあるから。だから最近は、旅に出ようと出まいと、どちらでもいいかなといった気分です。


―― ふたりとも旅慣れているからサラリと話されていると思うんですけど、旅には行き先や、いつ誰と行くかといった要素があると思うんですよね。たとえば次の計画や夢というのはあるんですか?


真木:いきなり前の日にチケット取ってどっか行っちゃったりするときもあるくらい僕は無計画なので(笑)。 あまり深く考えてないですね。直感的な感じかな。


玉井:僕も30分でメキシコへ行ける準備が整うような生活をしたいと思ってるな。よくあるんです、「いまだ!」みたいなことが。それで出かけることが以前はよくありました。


真木:フットワークが軽いのか計画性がないだけなのか、よくわからないですけどね。


玉井:計画性のない計画だよね(笑)

―― なるほど(笑)。すると今年も計画性のない冬になりそうですが、冬が来るとなって今の気持ちはどうですか?


真木:「冬が来るからこうしよう」といったことは特別ないんですけれど、「いい雪を滑りたいな」とは思います。ただそこに期待し過ぎても、ね。期待することでがっかりしちゃうことがあるから。その逆ももちろんですけど、あまり一喜一憂するのではなくて、常に感謝の気持ちを持っていたいなと思っています。そうすれば何事も受け入れられて、トリップに出て仮にいい波や雪に出会えなくても、満たされるんです。


玉井:冬が来て、雪が降ってくればスノーボードをするだけ。波があればサーフィンするだけなんです。でも、寒いですよ。マイナス15度の中で波乗りすることもあるので。周りは誰もいないですけどね。


真木:水温は3度くらいですか?


玉井:僕らのエリアは3.5度ぐらいですが、北のオホーツクへ行くと海水温はマイナスになってシャーベット状の波になります。でもすごくいい波。たまに南風が吹いて流氷が後退した日にはグランドスウェルが現れたり。裸でリーフブレイクを楽しむ南の島では決して見られない光景で、とても美しいんです。


―― 波も雪もいい北海道へは、沖縄からのアクセスもいいですよね。


真木:直行便があるので遠いようで近いと思います。4時間で世界最高の雪、そして良い波が楽しめますから。おそらく沖縄の人で雪を見たことのある人は少ないと思うんです。ましてやその雪を滑る経験というのは、異次元の話なのかもしれません。


玉井:そうだよね。たった4時間の距離に未知なる世界があるので、せひこの冬は北国の美しい景色を見にきてもらえるといいですね。

Photo by Hiroyuki Yamada

Release Date 2025.06.20